熊本県熊本市の税理士法人 永田会計

文書作成日:2024/06/25
個人事業主と所得税の定額減税

[相談]

 私は個人事業(年間の事業所得金額800万円程度)を営んでいます。
 今年、所得税の定額減税が実施されると聞いたのですが、私のような個人事業主にもその減税は適用されるのでしょうか。教えてください。
 なお、私は従業員を雇っておらず、毎年7月と11月に所得税を予定納税しています。また、私には事業所得以外の所得はなく、配偶者や扶養親族もいません。

[回答]

 ご相談の場合、第1期の(当初の)予定納税額から3万円が控除されることで、所得税の定額減税の適用を受けられることとなります。詳細は下記解説をご参照ください。

[解説]

1.令和6年に実施される所得税の定額減税の概要

 令和6年分の所得税については、定額による所得税額の特別控除(定額減税)が実施されます。

 具体的には、居住者(※1)の所得税額から、原則として、下記の特別控除の額を控除するとされています。

  • @本人:3万円
  • A同一生計配偶者又は扶養親族(いずれも居住者に該当する人に限ります):1人につき3万円

※1 居住者とは、国内に住所を有し、又は現在まで引き続いて1年以上居所を有する個人をいいます。

2.所得税の予定納税制度の概要(通常の場合)

 所得税法上、居住者は、予定納税基準額(※2)が15万円以上である場合には、第1期(※3)及び第2期(※4)において、それぞれその予定納税基準額の3分の1に相当する金額の所得税を国に納付しなければならないと定められています。

 この制度を、所得税の予定納税といいます。

※2 原則として、本年5月15日現在で確定している前年分の所得税の申告納税額が予定納税基準額となります。

※3 原則として、その年の7月1日から7月31日までの期間をいいますが、令和6年分所得税の予定納税(第1期)については、第1期の終わりは7月31日ではなく、9月30日とすると定められています。

※4 その年の11月1日から11月30日までの期間をいいます。

3.令和6年分の所得税の予定納税に係る特別控除の概要

 上記2.の所得税の予定納税義務がある個人事業主の令和6年分の予定納税額は、原則として、第1期において納付すべき予定納税額から「予定納税特別控除額(3万円)」を控除した金額に相当する金額とすると定められています。

 具体的な予定納税額の計算は、以下のとおりとされています。

  1. @第1期分の予定納税額は、予定納税基準額の3分の1に相当する金額(100円未満の端数がある場合には、その端数を切り捨てた金額)から、本人分に係る定額減税額に相当する金額(3万円)を控除した残額
  2. A第2期分の予定納税額は、予定納税基準額の3分の1に相当する金額(100円未満の端数がある場合には、その端数を切り捨てた金額)

 したがって、今回のご相談の場合、第1期の所得税の(当初の)予定納税額から3万円が控除されることで、所得税の定額減税の適用を受けられることとなります。

[参考]
所法104、改正措法41の3の3、41の3の5、国税庁「令和6年分所得税の定額減税Q&A(予定納税・確定申告関係)」(令和6年4月30日)など

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